カメさんがゆったり歩くイメージがかわいらしいステッカーや、キーホルダー。
WEBショップには、ライダーに使い勝手のよい、Tシャツやキャップなども並んでいます。
「TURTLE RIDERS/タートルライダース」は、「交通事故を減らしたい」「交通事故遺児の支援をしたい」という思いを持った教官・河野裕介さん(33)が2023年夏に立ち上げたファッションブランドです。
教官である河野さんがなぜ、ライダー向けのファッションブランドを立ち上げることにしたのか、お話を聞きました。
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教官がファッションブランドを立ち上げるまで
河野さんは大阪在住の33歳。現在、教官歴9年です。
免許取得のための指定教習所を昨年(2022年)退職し、現在は出張型ペーパードライバー教習を実施する会社に勤め、免許持っていても不慣れな方や、飛び込み試験(教習所に通わずに試験場で運転免許の一発合格を目指す方法)を希望する方を対象に教習をしています。
転職を決めたのは、教官以外のことで、もっと広く安全運転について伝えていけないか、と考えたからでした。
「もっと自分の活動範囲を広げたいと感じていました。
教官だと、1日10人に会っても、年間に300人くらいしか伝えていけません。
教官という立場で、もっと広く安全運転について知ってもらうために何かできる方法はないかなと考え、教官以外のビジネスができるよう、副業可の職場へ転職しました」
その結果、教官とファッションブランドが繋がり、「TURTLE RIDERS/タートルライダース」となりました。
ブランドコンセプトは、「交通事故を減らすこと」と「交通事故遺児(※)の支援」。
※交通事故遺児とは、事故によって保護者が死亡もしくは重度の後遺障害が残ることとなった子どものこと。
河野さんは、安全な運転者を教育する立場である教官として「安全運転のためにできる活動を広げ、交通事故遺児の支援をしていきたいと思うようになりました」と話します。
「TURTLE RIDERS/タートルライダース」の商品の売上の一部は、交通事故遺児等支援団体「公益財団法人交通遺児等育成基金」に寄付されます。
TURTLE RIDERS/タートルライダースの商品
現在、WEBショップに並ぶ「TURTLE RIDERS/タートルライダース」の商品の一部を紹介します。
人気はリフレクタータイプのステッカー。
夜間でも周囲から気づいてもらいやすく、事故防止になればという願いを込めています。
カメさんのイラストを見ると「ゆっくり安全運転で」という気持ちになりますね。
同じデザインのラバーキーホルダーもあります。
約5cmと小さめサイズ。小型バイクの鍵や、シートバッグにいかがでしょう。
ライダーではない、カメさん好きの方たちからのオーダーもあるそうですよ。
イラストは河野さんが制作しました。
デザイナーにお願いしたというロゴタイプの商品もあり、こちらは落ち着いた印象。
ステッカーのほか、イタリア、ラ・ペルラ・アズーラ社の皮革を使用した高品質のキーホルダーもあります。
「アメリカンやクラシック系バイクに合わせて、写真写りもいいと好評いただいています」とのこと。
期間限定でTシャツやキャップが販売されることも。
「お問い合わせはたくさんいただけているのですが、まだ始めたばかりでたくさんは作れないので少量ずつ、抽選販売という形でリリースしています」。
抽選販売とは、数日間の期間中に購入希望をとり、抽選で当たった人が購入できる仕組みです。
販売をスタートした瞬間に、仕事や用事で購入できない人がいるのは不公平と考え、できるだけ平等に機会が生まれるよう、抽選販売というスタイルにしました。
「のちのちは一般販売していけたら」とのことです。
ライダーといえば男性のイメージもありますが、購入者層を聞くと、4割近くが女性なのだとか。
今後は男性に向けても、「かっこいいシックなタイプのデザインも考えていきたい」ということでした。
リフレクタータイプの新しいデザインのステッカーや、シックなデザインのパーカーもリリース予定。
来年に向けて、プロテクターが入ったライダーズジャケットなどのギアも準備中で、どんな商品に仕上がるのか、期待が高まります。
河野さんのバイクライフ
ずっとバイクが好きで、車関係の大学を出て、実は二級整備士の資格も持っている河野さん。整備も自分でするバイク好きです。
愛車は2台。1台は教習車でもおなじみのホンダ CB400。
教えるにはある程度乗れないと教えられないこともあり、練習を兼ねてプライベートでも乗っている教官は多いのだそうです。
そしてもう1台、ホンダ XR100モタードにも乗っています。
もともと教官になる前に、ミニバイクレースで使っていた車両です。
大学時代は単車研究部という部活に所属しており、そのときの仲間と今でも日帰りツーリングに行くことがあるのだとか。
暮らしている大阪から、滋賀の彦根城に行ったり、淡路島に行ったり。
休日のたびにツーリング・・・とは今はいかず、教官の仕事のほか、金融の営業(ファイナンシャルプランナー)やファッションブランドの運営で忙しく、あまり休みをとれていない状態なのだそうです。
おわりに 「ゆっくり走っていいんです」
今回の取材は、インスタグラムで見つけたひとつの投稿がきっかけでした。
河野さんが考えた「ゆっくり走っていいんです」というコピーに、筆者である私はとても共感し、取材をオファーしました。
「教習所で教官をしていた頃から、40代50代のいわゆるリターンライダーの方のほか、女性でもバイクの免許を取得する方が増えていました。
昔は若い男性がスピードを出してかっこよく楽しむというのがバイクのイメージでしたが、それが変わってきていると思います。
バイクをゆっくり楽しむという、そんなブランドがあってもいいかなと思っています」と河野さん。
私自身、「バイクに乗っています」と話すと「かっこいい!」と言われますが、実際に乗っているのは原付のスーパーカブ(かっこよくはない)。
しかも女性で、ライダーとしてはマイノリティーと感じることが多かったです。
でもこれからは誰もが社会と調和しながら、安全にバイクを楽しめる時代になっていくのかも。
河野さんの話を聞き、これまでにないブランドとなりそうでとても楽しみになりました。
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