「走る原動力は撮りたい気持ち」hisayanさんとスーパーカブ110

「この日は空が焼けそうだなと、犬の散歩のときから気になっていて。
散歩を終わらせて、『ちょっと行ってくるね!』と言って、そわそわした気持ちで愛車とともに家を出ました。

本当は海まで出たかったけれど、すでに雲の色が変わり始めている・・・。
開けた田んぼの風景を見つけて、カメラを構えたんです。

大きな雲が流れてきて。
空の色の変化を眺めながら、撮影しました」

写真からは、どんなふうに夕焼けが広がるのか、待ち構えるカメラマンの高揚感まで伝わってきます。

ダイナミックな空をバックに、ホンダ スーパーカブ110は得意げに首をかしげているよう。

カメラマンはhisayanさん。
写り込むスーパーカブ110は、hisayanさんの愛車です。

【hisayanさんについて】
バイクのインスタグラム @3urahisayan
犬ちゃんのインスタグラム @333hisayan

hisayanさんはどんなバイクライフを送っているのでしょう。

バイクへの思いや、バイクライフのこれまでとこれからを聞きました。

Contents

和歌山への転居を機にライダーへ

hisayanさんは和歌山在住。生まれは大阪ですが、結婚を機に和歌山にやって来ました。
だんなさんの転勤のため、関東で約5年間、暮らしたこともあります。
その後、転勤により再び和歌山県民になりました。

関東から和歌山へ転居する際、「すごく田舎・・・何しよう。そうだ、山や海、自然を楽しみたい!」と、車よりも細い山道でも走りやすいバイクに興味を持ちました。

2004年、我が子が幼稚園に行っている間に教習所に通い、大型免許を取得。

カワサキのW650に憧れていましたが、最初の愛車はエストレヤRS、中型バイクに決めました。
高速道路を走り、和歌山から日帰りで琵琶湖一周ツーリングをしたこともあります。

和歌山の串柿の風景とエストレヤRS

大好きなバイクでしたが、2017年4月、お別れのときが。

めまいが激しくなり、運転に自信がなくなったことから、「乗らないのではバイクがかわいそう、だれかに乗ってもらえたら」と手放しました。

けれど、そのあと寂しくなり、「近所の買い物くらいなら運転も大丈夫」と迎えたのが、スーパーカブ110です。

「ヘッドライトが丸い『丸目』のカブ、できれば国産のときの型がいい」と中古で探していたら、ちょうど新車が出ると聞き、注文から半年待ちで2018年2月に納車となりました。

その後、体調が落ち着きめまいも減り、スーパーカブでのツーリングを楽しんでいます。

お気に入りのポイントは、小回りの良さ。簡単にUターンでき、どこにでもサッと停められて、気軽に乗れる。頼もしい相棒です。

左足のレッグシールドには「CAMP」と書かれたステッカーが。

ガレージから出すときに立ちごけして傷が入り、ステッカーでカバーしているのだとか。

「私自身はキャンプはしないけど、鹿と熊がかわいいなと思って」チョイスしたのだそう。

hisayanさんは動物園でボランティアを10年間もしていたほど、動物が好きなのです。

季節の風景写真を撮りに走る休日

hisayanさんはバイク仲間と約束をしてどこかに行くということは、めったにありません。

ひとりで行きたいところに行けるのもまた、バイクの良さ。

必ず持って行くのが、一眼カメラです。現在、オリンパス OM-D E-M1 ⅱを愛用中。

モニター画面が可動するバリアングルモニターがついています。

そのため、バイクがかっこよく撮れるローアングルや、ハイアングルの撮影も気軽にできる優れもの!

「そろそろ、あじさいを撮りたいなと思ったら、今咲いてるのはどこだろうと走りに行きます。
毎年必ず撮るのは、和歌山の秋の風物詩、串柿(くしがき)の風景。
シーズン中は毎週のように、柿でオレンジ色に染まる山を走ります。
季節ごとに撮影したいものがありますね。
『撮りたいな』という気持ちが、私の走り出す原動力です」とhisayanさん。

走っている途中に、新たな出会いや発見があることも。

神社を見つけたり、季節によって変わる風景に癒されたり。アナグマやタヌキと遭遇したこともあるそうです。

夢は長野のビーナスラインを走ること

これからのバイクライフについて聞くと、

「大きなバイクへの乗りかえは考えてなくて、この子(スーパーカブ110)が最後のバイクかなと思ってるんです。
できることなら、タイミングさえあれば・・・。長野のビーナスラインに行きたい!」と話してくれました。

スーパーカブはとても丈夫なバイクといわれています。きっとhisayanさんをビーナスラインに連れて行ってくれることでしょう。

課題は、家で待ってくれている犬ちゃんのお世話と、苦手なトンネル、夜の走行。

トンネルを避けてルートを考えるのもまた、楽しみのひとつかもしれません。

取材を終えて

「平日バイク」立ち上げにあたり、TOPページの画像をインスタグラムで募集しました(2022年7月23日~8月10日)。

約80件の投稿の中からパソコン・スマホのトップページ用に2枚の写真を選ばせていただき、そのうちの1枚(パソコン版トップページ)が、今回ご紹介したhisayanさんの写真です。

何気ない田んぼの風景と、一台のバイク。背景に広がるドラマチックな夕焼け。

平日のほっとした瞬間が描かれているような作品です。

取材を通し、hisayanさんに撮影時のシチュエーション・気持ちなども聞くことができ、写真からにじみでるときめきにも納得できました。

カメラを持って走るライダーなら、夕焼け空の色の変化と競争するように駆けた経験が、一度はあるのではないでしょうか。

今後も「平日バイク」では、さまざまなライダーの方のお話を聞き、紹介していきます。

取材・執筆 こばん

【hisayanさんについて】
バイクのインスタグラム @3urahisayan
犬ちゃんのインスタグラム @333hisayan

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ABOUT US
こばん
大阪府出身、岡山県浅口市在住。カブで旅するフォトライター。愛車は空色スーパーカブ「ソラコ」。ゆったり、まったり「無理しないひとり旅」がモットー。