ども~~~! 平日バイクライターの miller beck です。
前回は智頭急行智頭線の「恋山形(こいやまがた)」駅を紹介しましたが、今回は兵庫県美方郡香美(みかたぐんかみ)町にある「JR山陰本線 餘部(あまるべ)駅」にカワサキ NINJA250R で行ってきました。
Contents
「餘部駅」と「余部鉄橋」の歴史
餘部駅の表記は「餘部」と旧仮名遣いが使われています。
兵庫県姫路市にある「余部(よべ)駅」と区別する必要があるからだそうです。
そして餘部駅といえば、あまるべ鉄橋ですが、鉄橋の場合は「余部鉄橋」と表記することが多いのだとか。
餘部駅は兵庫県の国道178号沿いで、目の前はすぐ日本海。
ニッポン旅マガジンが選ぶ「日本の絶景駅15選」にも選ばれています。
餘部駅の設置には、次のような歴史があります。
まず余部鉄橋が1912年(明治45年)に開通しました。
しかし余部地区には駅は設置されず、当時の住民は列車が通っていない時間帯に鉄橋まで山道を登り、鉄橋を歩いて渡ってトンネルをくぐって、隣の「鎧(よろい)駅」まで歩いていたそうです。
そんな状態を打破するために、国鉄に強く働きかけたり小学生が県知事に手紙を書いたりして、1955年に念願の餘部駅が設置されました。
標高40メートルというとっても高い場所にあります。なぜそんな高い場所に余部鉄橋がかけられたのか?
山陰海岸は険しい山と、とても入り組んだ海岸線が特徴です。
そんな海岸線に線路を設置することは難しく、直線的に線路を設置するためにトンネルを多用しました。
当時はトンネルを掘削する技術もそこまでなかったため掘削距離を短くしようと、なるべく山の上部にトンネルを掘っていったそう。
余部地区は山と山の谷間にあたるので、標高40メートルという高さに鉄橋が設置されました。
そんな高所から見える日本海は絶景です。
日本海は夏はポスター絵画のような鮮やかさがあり、冬はとても寒く雪が降る分、威厳がある景色に僕は感じます。
余部鉄橋は現在は「鉄橋」ではなく「コンクリート橋梁」です。
1912年(明治45年)に当時の最先端の技術で「トレッスル式」と呼ばれる鉄の櫓を組んだ方式で完成しました。
鉄橋時代の姿は、併設されている道の駅「あまるべ」の駐車場にある説明看板で見ることができますよ。
僕も中型バイクに乗り出したときに、訪れたことがあります。
現在のコンクリート橋梁と違い、とっても細くて日本海の青に映えて朱色がとってもいい味を出していました。
そんな余部鉄橋ですが、1986年12月28日に悲しい事故がありました。
強風に煽られて通過中の列車が転落してしまい亡くなった方も。なのでふもとには慰霊碑があります。
この事故を受けて風速25メートル以上で運行中止だったものが、風速20メートル以上に変わりました。
山陰地方の冬はとても厳しい気候です。風も強いので、たびたび運行停止が発生していました。
それを解消するために、2010年に鉄橋から現在のコンクリート橋梁に変わったのです。
巡り方① 今でも残された鉄橋の一部に注目
以前の鉄橋の一部も残されています。
余部橋梁のふもとには、昔の鉄橋の一部を利用した休憩スペースもあります。
そして道の駅「あまるべ」も併設されてします。
駐車場には、鉄橋の一部が。
駅と鉄橋の長い物語を目の前で感じることができます。約100年もの間活躍していたものです。
とってもノスタルジーな気持ちになりますよ。
巡り方② 道の駅「あまるべ」内の資料は一見の価値あり!
そして道の駅「あまるべ」内でぜひ見てもらいたいものが、中で流されている、余部鉄橋建設の物語、餘部駅設置の物語、地域住民の想い、コンクリート橋への工事の様子を伝える映像です。
初めてこの映像を見たときには、感動してもう一度見てしまいました。
それ以来、ここに休憩に来るたびに見てしまいます。
ぜひこの映像を見てから、餘部駅へ登ってください。見える景色が変わってくると思いますよ。
さらに鉄橋時代の模型や、当時の資料が展示されています。この資料でさらに詳しく知ることが出来ます。
コンクリート橋梁への工事のエピソードのひとつを紹介すると、鉄橋のレールは山のトンネルへ一直線になっていますが、新しいコンクリート橋梁は曲がってトンネルに向かっています。
鉄橋を残しつつ新しいコンクリート橋梁を新しく建設したことが分かります。
巡り方③ 餘部駅へ上る「余部クリスタルタワー」
2017年に餘部駅へ上る「余部クリスタルタワー」が建設されました。
それまでは山肌にあった登山道で餘部駅まで登っていたのですが、このエレベーターでとても楽に上れるようになりました。
ガラス張りのエレベーター。途中に見える景色はアトラクション的な楽しみがありますよ。
毎日、日没から21:30までライトアップもされます。季節によってライトの色が変わるそう。
エレベーターで昇ると「空の駅」に到着します。
ここは鉄橋時代のレールなどを残した展望空間です。無料で6:00~23:00で開放されています。
鉄橋時代の残されたレールの上を歩くことができます。こんな写真も撮れますよ。
「空の駅」と記されている石の左側にある道を進んでいくと、さらに上にある展望台から空の駅と橋の全景を見ることができます。
コンクリートに埋め込まれた部分からは鉄橋部分のレールです。当時はこの幅しかないレールの上を車両が走っていたわけです。
空の駅にはベンチが設置されていて、そこから日本海の絶景を見ることができます。
絶景を堪能してみようと座って目線を下に落としてみると…
うぉ~~~! 地上まで丸見えです。怖かった~。すごい仕掛けです。
他にもこんな場所もあります。
ここも地上まで丸見えです。そして鉄橋時代の枕木も見えます。
そんなアトラクション的な空の駅ですが、余部鉄橋と餘部駅の歴史を知ると、楽しいだけでなく、美しい姿と共に残された鉄橋と新しいコンクリート橋梁から醸し出される重厚感を感じます。
みなさんもぜひ、訪れたときにこのふたつの橋の歴史を感じてほしいと思います。
並走している国道178号は、山陰地方特有の山の中をクネクネ走ることが出来るので、バイクツーリングの楽しみも感じられますよ。