「この大きな箱がお気に入りです。交通の足としてはもちろん、キャンプでも大活躍。独立してからは運搬など仕事でも便利に使っています。この子でマルシェに出店することもありますよ」
そう話すのは、岡山県浅口市で雑貨の製造販売を行う粂田 恵美(くめだ えみ)さんです。
粂田さんは2020年に「MMLab.340(エムエムラボサンヨンマル)」を立ち上げ、デニム素材のオリジナルキャンプ用品の製造、ジーパンのリメイクや洋服のリペア、刺繍を使うオリジナルワッペンや缶バッジの作成などを行っています。
愛車は大型ルーフを備えた3輪バイク、ホンダ ジャイロキャノピー(GYRO CANOPY)です。
ビジネスバイクとしての印象が強いですが、粂田さんは移動手段として購入。
「これはおもしろい!」というわくわくから、バイクライフがスタートしました。
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「何運んどん?」会話が生まれる個性派バイクとの出会い
粂田さんがジャイロキャノピーを迎えたのは、2019年。人生で初めてのバイクです。
岡山県浅口市出身ですが、関西での暮らしが長く、車の免許は持っていませんでした。
約10年前に地元・浅口市へUターンし、しばらくして自動車免許はとったものの、「ときめく車」との出会いがなく、自転車暮らしでした。
「ときめく車を見つけても、すごく古くて。車の構造に詳しいわけではないから、中のメンテナンスが不安で購入には至りませんでした。こだわらなければいいことなんですけどね」と粂田さん。
友人との会話の中で、車だけでなくバイクも候補に挙がったそうです。そして、「こんなのもあるよ」と出会ったのが、ジャイロキャノピーでした。
ピザ屋の配達でおなじみのバイク。中古の車体には、なんでも入りそうな大きな箱がついていました。
「これはおもしろい!」と思った粂田さんは購入することに。
もともとは原付バイクですが、ミニカー仕様に変更することで、ヘルメットが不要になり、30km/h制限と2段階右折からも解放。とても乗りやすくなりました。
今ではほぼ毎日、乗っています。
個性的な見た目で愛嬌をふりまくジャイロキャノピー。
「見知らぬおじさんに『何運んどん?』と聞かれたり、工房の前に駐めていると『ここでピザ売っとるんか思ったー。そしたらミシンの画が書いてあった!』と縫物が好きな方と裁縫トークが弾んだこともあります」
ジャイロキャノピーをきっかけに、様々な会話が生まれています。
日常使い、仕事、キャンプで活躍する相棒
大きな箱にはどんなものを入れているのか聞いてみると、
「ジーパンは80本、入りましたね。キャンプにも行けます。テント、タープ、調理道具、寝袋など、ひと通り積めるので」とのこと。
ミニカー仕様で30km/h制限がなくなっているとはいえ、平地でもがんばって出せるスピードは50km/h程度とあって、遠出はほぼしないそう。
キャンプ場がある山まで行くとなると、上り坂ではなかなかスピードが出ない…。けれど、「それもまた楽しい」と話します。
2020年には個人事業主となり、「MMLab.340」としてデニム雑貨の製造販売をスタートさせた粂田さん。
元散髪屋の物件が工房になりました。ちょこんと駐まるジャイロキャノピーはトレードマークです。
粂田さんならではの発想で誕生したのが、ソロキャンプにぴったりのグッズ「bois(ボア:フランス語で木や林を意味する)」シリーズ。
日常使いができそうな「ペグバッグ」のほか、B6に折りたためる焚き火グリルを収める専用カバー「B6さん」、バーナーケースやOD缶カバー(容量ごとのサイズあり!)など、遊び心をくすぐるニッチな商品も展開しています。
もともと粂田さんは岡山特産のデニムを使用した雑貨を制作する会社に勤務し、多くの製品を企画生産してきました。
量産体制だと諦めた細やかなこだわりも、個人であれば実現可能に。「アウトドア系、攻めるならもっと作り込みたい」という思いを実現したのが、「bois」です。
こういったオリジナルグッズを携え、ジャイロキャノピーとともに地元のマルシェにもたびたび出店しています。
商品、折り畳み式の机など、タープ以外の準備物をボックスに入れて運び、出店するのです。
ジャイロキャノピーはアイキャッチとしても優秀。お客さんと「かわいいバイクですね」「これで普段から走ってるんですよ」と話が弾むのだとか。
「今後もオンリーワンに」広がるわくわく
「中古で購入し、愛車として迎えたときの走行距離は9,000km未満。もうすぐ、14,000kmです。配達などで使われるジャイロキャノピーは、30,000、40,000km走ると聞いているので、これからまだまだ楽しめると感じています」と話す粂田さん。
ますます、オリジナルの車体に仕上げていく予定です。
シートはすでに、粂田さんのお手製。
色は世田谷ベースカラー(水色)にしたいという夢があるほか、ハンドル周りの装置など、変えたり加えたりしたいパーツがあります。
「ふと見た人から『うわ~!』と言ってもらえるような、わくわくを与えられるような車体にしていきたいです」と笑顔で教えてくれました。
取材を終えて
荷物がたくさん運べるジャイロキャノピーは、ビジネスバイクとしてだけでなく、日常使い・レジャーでも大活躍するとわかりました。
自由な発想でバイクライフを楽しみながら、車体から生まれる見知らぬ人との会話を楽しんでいる粂田さんの話を聞き、様々なものが運べるジャイロキャノピーで「わくわく」も一緒に運んでいるのだと思いました。
キャンプを楽しむごとに味が出るグッズや、オリジナル刺繍缶バッジの制作などの活動にも注目です。
もしかしたら「平日バイク」オリジナルグッズも誕生するかもしれません(お楽しみに!)
【粂田恵美さんのMMLab.340について】
インスタグラムmmlab340 @bois_denimcamp
オンラインショップ https://mmlab340.thebase.in/